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きよの漫画考察日記2322 大長編ドラえもんvol.15 のび太の創世日記

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大長編ドラえもんシリーズ、第15弾はこれ。のび太の創世日記!
これといった悪役が登場しないのみならず「のび太達が冒険しない」という大長編の中でも異質の作品です。内容的には人類史を勉強できて良い作品なんですけどね…

カップケーキ

さて物語の発端となるのはこのひみつ道具。
創世セット!
これで作った惑星で起こる出来事をひたすら観察するというのがのび太の創世日記のざっくりしたストーリーでしょうか。それにしても生命を創り出しちゃう道具ですからね、運用には気をつけないと…

さてまずは宇宙作り。
レプトン・クォーク・ゲージ粒子、これは素粒子学において実在する素粒子のグループです。どう説明すればいいでしょうかね、東大の小柴教授がニュートリノを観測してノーベル賞もらったっていうニュースがあったでしょ、あのニュートリノと同じような物と考えておきましょう。俺も素粒子はさすがに難解過ぎて理解しきれません。

つーわけで太陽系を作ったのび太。
太陽から地球の距離は149,600,000㎞。太陽から108,200,000㎞の距離にある金星の平均気温は400度、227,900,000㎞離れている火星は平均気温−43度。そう考えると地球と太陽との距離はまさに絶妙なんですよね…

そして作った惑星を覗くためのひみつ道具。

UFOカメラ!
ここで発見された原核細胞、まぁ細菌のような物です。じゃあどうやってこの原核細胞が生まれたのか、これは未だによく分かっていません。仮に地球上に存在した有機物が科学反応することによって生命が誕生したんだとすると試験管の中でもそれを再現できそうなもんですからね、それができないということは…最初の生命は地球外から飛来したと考えることも不自然ではないよなぁ…

そしてここからは生物の進化。
約38億年前に登場した原核生物が進化し、核を持つ真核生物が誕生します。そして5億4000万年ほど前に「カンブリア紀の生命大爆発」と呼ばれる生物の多様化が生じます。とはいえまだ生物は地上には進出できていません。その最大の理由は紫外線なんです。藻類の活動により大気中の酸素濃度が増えていってオゾン層が形成されるまで、生物が地上で暮らすことは不可能だったわけです。

そしてまず地上に進出したのは植物。その次に進出したのが…
脊椎動物である両生類が地上に進出したのは約3億6000万年前。これに対し無脊椎動物である節足動物が地上に進出したのはそれよりも早い約4億年前。地上というものは本来昆虫が支配していたというのがこの創世日記の大きなポイントでもあります。

さて陸上が昆虫ばかりではつまらないとこのひみつ道具。
つかみどりバズーカ!
わざわざバズーカタイプにするとこが良いんですよね。バズーカやキャタピラ、ドリルは男の子大好きですからね…

つーわけで釣り上げた魚を強制的に進化させます。
既に原作8巻で登場しているこの進化退化放射線源ですが、やはり道具名としては若干不自然なので、今作品以降は「進化退化光線銃」という名称に変わります。
まぁそれよりも注目すべきは釣り上げられたユーステノプテロンという魚です。実はこいつはヒレが8本もあり肺も持っていたので、こいつが進化して両生類になったのではないかと言われています。つまり人類の祖先は魚であると言うこともできるわけですね…

そしてついに脊椎動物が地上へ進出。
水中でも空気中でも生活できる両生類は画期的ですが、逆に言うと水辺を離れると暮らしていけないということです。両生類が地上に進出したのは生存競争から逃れるためと見るべきだとは思いますが、さらにその生活環境をも追われた両生類はこちらへ進化していくわけです。
両生類は完全に陸上生活に適応するために爬虫類へ、そして恐竜へと進化していったわけです。ちなみに我々が子供の頃は教科書にも「両生類→爬虫類→哺乳類へと生物は進化した」と書かれていましたが、現在ではこれは間違いで「両生類→哺乳類」が正しい進化のルートだと考えられています。教科書に書いてあった事が間違ってたというのは我々の時代にはよくあった事ですね…

そして繁栄する恐竜。
ちなみに恐竜と爬虫類の違いが分かりますかね。恐竜は4本の足で地面に「立つ」んですが、爬虫類はワニやトカゲを見れば分かるように地面を「這う」んです。足の生え方が若干違うんですよね…

そしてここから一気に人類が登場し、ゲストキャラクターが登場します。
スモジモ・そしてノンビ。ちなみにノンビの声は綾波レイと同じです。

さて猛獣対策で火を燃やすノンビ達。
木材磁石!
実際こんな磁石があれば結構な技術革新が起こると思いますけどね。磁石ってのは我々の生活に無くてはならない物になっちゃってるからなぁ…

さらにこの道具でお助け。伝書バット!
ダジャレ系のひみつ道具ですね。こういうのは外国語に訳す時に苦労するんだろうけどな…

さらにマンモスに追われるノンビ達を助けるために…
おとりロボット!
はっぴを着たロボットがわっしょいわっしょい大騒ぎすることによって囮になるという道具。まぁお祭りはどうやったって注目を集めるからなぁ…

それからさらに2万年後、舞台は石器時代から神話時代へ。登場するのは…
スネ若隊長ノビ彦。ちなみにノビ彦の声も綾波レイと同じです。

さてまずはこの道具。
エアコンボール!
これは便利かもしれませんね。携帯できるエアコンがあったらもっとアウトドア人口は増えるだろうなぁ…

そして食事タイム。
どらやきどんぶりも衝撃的ですが、注目すべきなのはピザパイです。確かに我々が子供の頃は「ピザ」とは呼ばずに「ピザパイ」と呼んでたんですよ。だから今の若い世代は逆にピザパイという呼び方を知らないんだろうなぁ…

さて生贄にされる娘を助けるためこの道具。
無敵ホコとタテ全自動式!
「無敵」とありますがそれほど無敵というわけでもありません。こういう時は名刀電光丸が一番なんですが、まぁ時代的なところも合わせなきゃいけませんからね…

つーわけで神話時代も終わり。
細かいところを突くようですが「一昨日」をどう読むかという問題はあります。「おととい」でも「おとつい」でもどちらも正解なんですが、俺は「おとつい」派です。調べてみたところ近畿・中国・四国は「おとついが多く、関東・東北では「おととい」が多いそうです。でも「おととい来やがれ!」という表現は聞いても「おとつい来やがれ!」というのは聞いたことないなぁ…

さて次は平安時代、登場するのは…
ノビ彦の子孫の野比奈、その声は風の谷のナウシカのジルと同じ。さらに謎の生物チュン子の声は少年アシベのゴマちゃんと同じです。

さていなくなってしまったチュン子を探す野比奈。
このたずね人ステッキは特殊な道具でね、ドラえもんの短編の方には一度も登場したことがないにも関わらず、大長編になると鉄人兵団・日本誕生・ドラビアンナイト・創世日記・翼の勇者たち・南極カチコチ大冒険と6作にも登場する、大長編に特化したひみつ道具です。

さらにこんな人物が登場。
この鎧武者は実在した源頼光ですな。ちなみに源頼光の声は魁‼︎男塾のJ ・J・ジョージと同じです(笑)

そして舞台は大正時代へ。
昔の日本語はなぜ右から左に書いていたんだろう、右利きの人間には書きづらかっただろうに不合理だなぁという疑問は誰しもが持ったことがあるでしょう。実はこれには明確な理由があります。例えばこれを読んでみてください。
さかあ
しきい
すくう
せけえ
そこお
これなら誰だって縦に読むでしょ、では次にこれを読んで下さい。
さかあ
しきい
すくう
これでもまだ縦に読むでしょうね、最後にこれを読んで下さい。
さかあ
ね、右から読むでしょ。つまり1000年以上縦書き文化にしか触れてこなかった日本人にとっては、右から左に読む方が馴染みがあったわけなんです。

さてこの時代の野比奈の子孫が…
野美のび秀、その声は美味しんぼの山岡さんと同じ。そして出木松博士の声はBLEACHの藍染やFateの遠坂時臣と同じですな。それにしても大長編になると途端に活躍の場を失う出木杉くんにとってみれば、名前は違えども初めて大長編で意味のあるポジションをもらえた瞬間ですかね…

さらにこんな子も。
秘書の源しず代、その声は逮捕しちゃうぞの辻本夏実と同じです。ちなみに先ほど登場していた源頼光、わざわざ登場させていたということはこの源しず代の先祖ということになるんでしょうか。

つーわけで南極へ向かう一同。
このゴーゴーカザグルマ、のび太と雲の王国で登場した時には「雲進めプロペラ」という名称だったんですが…まぁメーカーが違えば呼び方も違うかもしれませんしね。

さらにこのひみつ道具。
正体スコープ!
あらゆる怪奇現象を解明してしまうこの道具、実際にあったら世の中つまんなくなっちゃうんでしょうね…

そして南極の巨大な穴から昆虫族が暮らす地底世界へ。
地底空洞説、夢があっていい考え方ですけどね。だけども地球内部が空洞だと仮定するとマントルの対流や地球の磁場、地震波の観測等で矛盾が生じるという事で科学的に否定されてしまったそうです。科学は夢を奪うなぁ…

そして地底世界で暮らしていたのは昆虫族。

地球上で発見された生物というのは125万種に及びますが、そのうち100万種は全て昆虫。ちなみに人類の人口は75億人ですが、昆虫はというとアリだけでおよそ1京匹。昆虫全体の数ではもはや継続不可能。このデータを鑑みると、捕食者と非捕食者という差異はあれど地上を支配している生き物は昆虫であると言っても差し支えないんじゃないでしょうかね?

さてこの昆虫世界におけるのび太的立ち位置の人物が…
ビタノくん。当然のび太のアナグラムになっておるわけですが、その声はやはり綾波レイと同じ。こののび太の創世日記という作品においてノンビ・ノビ彦・ビタノの声は全て同じです。

さらにドラえもん的キャラクターもいました。
エモドラン!
なるほど、このエモドランが存在していたことによってストーリーの辻褄が一気に合いますね。ただ一つ腑に落ちないのは、ビタノくんとエモドランはタイムマシンによってのび太たちの世界と創世セットによって作られた世界の両方を行き来できていることになっちゃうんだよなぁ…
ちなみにエモドランの声は流れ星銀の大輔のおかんの声と同じですw

さて昆虫族の攻撃により飛行船は大破。
この一大事に何をしとんぞ(笑)

そして一気に問題解決。
昆虫世界の大統領、理解が速すぎるでしょ(笑)

つーわけでラストカット。
最後までのび太たちは「世界の観察者」という立場に終始しましたね。冒険感はなかったかもしれませんが、非常にアカデミックな内容で良かったとも思います。ただ物語の中核的な部分はのび太と竜の騎士に似通っていた部分もありますかね…







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