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きよの漫画考察日記1485 からくりサーカス第34巻

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お月様

さて勝vsシルベストリ。
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う~ん、何ででしょうね?まぁ俺も独身なので周りの奴からよく言われます「独身は寂しいでしょ」って。ところが俺は寂しいと感じたことが一度たりとも無いんですよ。まぁ酒を飲みに行く時とかは群れたがりますけどね…


さてここでコロンビーヌに人質に取られた菊さん、勝は菊さんに危害を加えたら自害するとコロンビーヌに警告。
コロンビーヌ「ちょ…ちょっと待ってよ、この娘のために自分が死んじゃったらモトもコもないじゃない!あんたはゲェムをしてしろがねを守るんでしょ⁉︎」
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この勝vsシルベストリ戦はいい言葉が多過ぎてね、ちょっと考察が長くなっちまいますがご容赦ください。

つーわけで戦い再開。
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藤田和日郎作品の読者なら当然気付きます、同じようなセリフを蒼月潮も言っていたことに。はぐれ外道戦で諦めかけた設楽に潮がかけた言葉が「勝てねえかもしれない…だけど負けねえ!」でしたねぇ…


そして勝はシルベストリの問いに答えを出します。
シルベストリ「君にわかるものか。たいした経験もなく、愚かで、はかない…子供の君に。」
「そう…でも人間はみんなぼくと変わらないんじゃないかな…」
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シルベストリ「さ…さみしいだと…それは人間の「感情」だろう…自動人形の私が…!」
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まぁ確かに。俺だってこの地球上に俺しかいなくなったら1週間で死んじゃいますよ。食べる物も飲める水も、何も作り出せないもんなぁ…

そして勝からの口撃。
「そしてね、たぶん人間は頭だって思ってるほど良くないんだ。何が良くて何が良くないか、いっつもフラフラしちゃう…だからお互いにそばで見てもらわなきゃ。」
「ぼくはサーカスにいる。サーカスの団員は人に見られてはじめてがんばれるんだと思う…自分の芸をお客さんに見てもらって、喜んでもらって、それでお金がもらえて生きていける。サーカスの人達はそれが最高だと思うからフラフラしないんだよね。」
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「オジさんは変われるの?誰も見ていない暗闇でずうっと同じ芸を繰り返す自動人形は…」
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前巻で勝は「進化」の反対の言葉は「無変化」だと言ったんですがね、たしかに何もしないし何も変化しない人間ってのは誰からも見られてない人だわ。人は人から見られることにより、誰かを守ろうと思うことにより進化していく生き物なんですね…

つーわけで痛いところを突かれたシルベストリは勝を殺そうとします。
シルベストリ「君は私に負け、人間もまた弱さ故に自動人形に負け続けてゆくのが現実なのだ。」
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なんかCoccoの歌でこんなのありましたね。あれは「強く儚い者たち」か。


がしかしまたしても勝からの口撃。
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「この服は人間が考えて作った…おいしいごはんも、建物も…村も、町も…人間は作った物を全部次の人間に手渡して、渡された人間はそれを工夫して、繰り返し暮らしてきたんだ。もちろん人間は弱いから悪い歴史もきっといっぱいあった…でも…でも人間は今も地球の上に生きてる!それはきっと人間がなんとかやっていこうと思ってるから…」
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原発の再稼働推進派と反対派の争いを見てるとこーゆーことを思ってしまいますな。正直なところ個人的には原発を再稼働させなきゃ日本経済の未来は苦しいとは思っています。だけど俺たちがいずれこの日本を手渡す次の世代のために、ダメなものはダメだと言う事も必要だと思うからねぇ…

つーわけでシルベストリの一撃に対し…
「そしてこれも人間の輪のひとつ!ぼくの中におじいちゃんが残してくれた人間の技だ!」
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たしかに今の世の中にあるあらゆる物事は、多くの先人達との輪の中で改良されながら受け継がれてきた物なんでしょう。郷土料理だとか伝統工芸だとか、そーゆーものに触れる時にはその奥にある人の輪を感じなきゃなぁ…

つーわけで敗れたシルベストリ。
シルベストリ「た…たしかに…人間は色々な力を一人の体に…秘めておるのだな…私には…何も…ない…あるのは…何もない部屋…ずっと…ずっと続く…何もない…部屋だけ…だ…」
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シルベストリ「少年…よ、君の言ったことが…わかったぞ…」
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「花…?あ、これ…」
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シルベストリ「スズランか…そんなに小さな花が…よりそって…ああ…なんて…きれいなんだろう…」
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まるでスズランの花のように夜空に上がる花火、それが照らし出すのは繋げなかったシルベストリの手…この辺りはさすが藤田和日郎です。

そしてあのスズラン売りの少女は…
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からくりサーカスにおける戦いの中ではこの勝vsシルベストリ戦がNo.1でしょう。潮vsサトリ、鷹村vsホーク、ダイvsハドラー、ケンシロウvsサウザー、ロビンマスクvsマンモスマン、ブチャラティvsペッシ&プロシュート、太尊vs川島、この辺りの超絶名勝負と比較したってこの一戦は引けをとらないと俺は思ってるんですがねぇ…


さて戦い終わった後…
コロンビーヌ「アナタ、シルベストリに言ったわね…「彼の手が剣じゃなかったら手をにぎれた」って。」
「うん…」
コロンビーヌ「見て、アタシの手…こんなに小さくてかわいいの。」
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コロンビーヌ「アタシは機械の人形よ。アナタ達の血を飲んで動くの。形が似ているだけでアタシ達の体は全部アナタ達より優れてる。そんなアタシとアナタが手をつなぐワケないでしょ。」
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コロンビーヌ「…あはは、何よそれ?聞いたコトもないわ!アナタ、本当にウソつきね…」
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からくりサーカスの最終回のカーテンコール、敵も味方も人間も自動人形も皆が手を取り合っていたあのカーテンコールへと繋がる1シーンでしようかね…

そんなこんなで自分の弱さを知った菊さん。
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人類が進化して太陽光からエネルギーを生成できるようになったりあらゆる病気を克服した未来には、もはや人の輪というものは存在しないかもね。弱いから群れる、その意味では人間も小魚も同じですよ…



つーわけで黒賀村三部作も完結、三姉妹全員をものの見事にオトしたプレイボーイ才賀勝(笑)
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小学五年生の男の子に告白する中一というのもどうかとは思いますがね(笑)

つーわけで百合さん陥落。
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さらに一番簡単に勝にすっ転んだ感のあるれんげさん。
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眼がガチャピンみたい(笑)

つーわけでれんげさんも陥落。
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そして一番の強敵だと思われていた菊さんも一蹴。
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中三と小五はさすがにマズいね(笑)

つーわけで菊さんも陥落。
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う~ん、幸せな時間だなぁ…

……と読者に感じさせる、これこそが藤田和日郎の罠なんです。主人公と読者を「幸福から不幸へと一瞬にして落とす」これはもう藤田和日郎の十八番でしょう。つまり藤田和日郎作品において幸せなシーンが描かれた後っていうのは要注意なんです。

そしてその予想通り、藤田和日郎はたった1コマ、たった一つの言葉だけで主人公と読者を絶望に叩き落すんです。
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鳴海が目撃してしまったあの地獄に、こんどは勝が叩き落とされるわけですよ…

そしてついに最終章への幕が開きます。
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15秒の間に退場するも良し、しないも良し。まぁここまでからくりサーカスを読んできて、ここで退場したなんていう読者がいたらそいつは神です(笑)

つーわけで15秒待った読者に開かれる最終章の名は…
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デウスエクスマキナ!
そのまんま意味は「機会仕掛けの神」つまり演劇とかで機械に吊るされて登場する神様のことを指した言葉です。解決困難な局面に神様が現れて無理やりハッピーエンドにするその手法が転じて「脈絡もなく物語を収束させる行為」をデウスエクスマキナと呼ぶようになったんです。つまり水戸黄門の印籠だとか8時だよ全員集合のタライとか、あーゆーのがデウスエクスマキナなんです。

…まぁ最終章とは言いましたが、ここからまだ9巻も続くんですけどね(笑)




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