年間100試合以上戦うプロ野球ではそうでもないんですが、負けたら終わりの高校野球では心揺さぶる名勝負ってのは延長戦に突入してることが多いですな。赤石中vs中京商の伝説の延長25回、松山商業と三沢の延長18回再試合、奇跡が何度も起きた星陵vs箕島の延長18回の死闘、延長11回の裏に6点差を追いついた逆転の報徳、松山商業奇跡のバックホーム、宇部商vs豊田大谷の涙のサヨナラボーク、松坂大輔vsPL学園の延長17回の激闘、早実齋藤vs駒大苫小牧マー君の決勝戦延長15回再試合…たまんない試合ばっかですもんねぇ…
それを日本シリーズの舞台でやっちゃったのがあの江夏豊だということですよね…
さてスクイズに失敗した寿也、レフトに犠牲フライを上げますが…
これもなかなかできるプレーじゃありません。基本的に野手は「ボールを取る」という練習しかしませんからね「ボールを取らない」という選択は簡単そうに見えてなかなかとっさにはできないことなんですよ…
すっぽ抜けたバットがサードやショートを襲うってことはたまにありますが、折れたバットがピッチャー強襲ってのは超が付くレアケースですね…
「ゴゴゴゴゴ」(笑)
ギブソン「フフフフ…ハハハハハ…」
つーわけでギブソン続投。
吾郎は生粋の野球バカですが、ギブソンには一歩譲るかもしれませんね。野球への愛情、取り組む姿勢、楽しみ方、責任感、愛国心…野球的メンタルでこのギブソンに勝てる選手はちょっと思いつきませんね…
ジュニア「くるってる…あんたくるってるぜ。勝たせてやってくれ!」
つーわけでこのピンチをしのぎきったギブソン。
野球の神様ってのはいます。それはベーブルースやテッドウィリアムスということではなく、全ての野球人を見守っている神様は間違いなく存在してます。ただその神様はあまりにも気まぐれでね、努力に見合った栄光を与えてくれるとは限らないだけの話です。野球の神様の力を借りたいのであれば、それこそ命を捧げるほどの覚悟が必要なのかもしれません…
ギブソン「ジュニア…」
つーわけで延長16回の裏、ノーアウト満塁のピンチを招いた吾郎、打席にはもちろんギブソンJr!
こんな夢が叶ったら野球人としては幸せの極致でしょうな。同じチームメイトとして出場した親子は何組かいるんですよ、ケングリフィー親子とか。しかしさすがにプロの世界で対戦した親子というのは日米含めても前例がありませんが、一番惜しかったのはロジャークレメンス。キャンプ中に当時マイナーの息子と対戦したことはあるんですよ。息子がメジャーに昇格できていれば夢の親子対決があったかもしれませんけどね…
ちなみにこのキャンプ中の対戦で息子にホームランを打たれたクレメンスが次に投げたボールはビーンボールだったそうな。どんだけ負けず嫌いな親父だ(笑)
ジュニア「いい球だ…この局面でまだこんな力を出せるなんて…やはりお前は最高のライバルだ…!だが俺は負けるわけにはいかない!親父が命をかけて戦った、現役最後のW杯…」
見開き連発です。作者もここの作画には魂込めたんでしょーね、長かったこのW杯編を締めくくるに相応しい描写だと思います。野球漫画において一球の攻防に最もページ数が使われたのはこの対戦なんじゃないかなぁ…
そんなこんなでこの対戦は吾郎の球がジュニアのバットをへし折るという形で決着。がしかしボールの行方は…
バットを折りながらもホームラン、これはたまーにあります。日本球界でいうならバレンティンやガイエル、日本人なら松中が松坂相手にスタンドまで飛ばしたことがあります。バットが折れるということはそこで反発力が相当失われるということですからね、それでもホームランということはつまりバットが折れていなければとんでもない飛距離が出たであろうホームランだったということです。