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きよの漫画考察日記2244 月光条例第1巻

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これまで藤田和日郎作品を色々と考察してきました。うしおととら、短編集夜の歌、短編集暁の歌、からくりサーカス、邪眼は月輪に飛ぶ、黒博物館スプリンガルド…そしていよいよこの作品に突入!{CA63D082-8AE3-4550-874A-5D0E8707D2A1}月光条例!
全29巻、ボリューム的にはからくりサーカスに比べれば楽勝です(笑)うしとらやからくりサーカスを読んできた読者からは「つまらない」という評価もなくはないですが、いやいや赤ずきんやフランダースの犬のエピソードは藤田和日郎史上屈指の出来ですからね。これを読まないなんてことは許されません!

お月様

さてまずは目次。{55016113-DF90-414B-98B1-CFABA0EA739E}実際にも条例や法律の第1条は「本条例の目的」となっていることが非常に多いです。さすが藤田和日郎、よく分かってらっしゃる。

第1条「本条例の目的」
さて導入。{BFEF7D46-6B46-4C11-B803-2D93647C5E98}

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藤田漫画に共通するのは「第1話の面白さ」です。もう安心して読めますもんね…

つーわけで主役登場。
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岩崎月光!
その正体はチルチルであり散吉です。普通の高校生です(笑)これまでの藤田作品の主人公である蒼月潮とも才賀勝とも加藤鳴海とも違うタイプですね、あえて言えば黒博物館スプリンガルドのウォルターが最も近いですね…

そんな月光の苦手なもの、1つ目はお月さま。2つ目が…
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月光は超ひねくれ者です。このあたり超まっすぐだった潮とは対極的です。ただね、潮のまっすぐな言葉に救われる人もいれば、月光のひねくれた言葉に救われる人もいるんですよ…

そして月光の苦手なものその3が…
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エンゲキブ!
その正体は高勢露でありかぐや姫です。普通の女子高生です(笑)元気で活発、藤田シリーズで言えば中村麻子タイプでしょうか。まぁ真由子と違ってホントの一般人だった麻子に対して、このエンゲキブの正体こそが物語のカギになるんですけども、それはだいぶ先の話。

そして苦手なものラスト4つ目が…
{452E0AD9-3F3B-4785-A6A4-DE9ADA624E84}岩崎徳三!
その正体は………普通のラーメン屋店主です(笑)

そしてまず登場するおとぎ話はコレ。{E5591424-0236-496F-B8AD-CD40830E5D66}鉢かづき姫!
正直このおとぎ話は知りませんでした。子供の頃に読んだのかもしれないけど、覚えちゃいませんね。ただ我々の世代はおとぎ話には詳しいはずなんですよ、なんつってもこれがありましたから。
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まんが日本昔ばなし!
俺が生まれる前、1976年からずーーーっと1994年まで20年近く、土曜日19:00つったらまんが日本昔ばなしでした。ただこれは毎日放送が作ってた関西ローカル作品なんでね、我々関西人で知らない人はいませんが全国的知名度はどうなんでしょうかね?でもエンディング曲の「にんげんっていいな」は皆知ってるもんね、ということは全国に放送されてたのかな…

そして身を投げる鉢かづき。
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ここに登場する「さんみの中将」これは平安末期に実在した藤原山蔭という人物です。昔話というものはちょくちょく実在の人物が登場しますからね、その辺りも面白いもんです。

そしてこのさんみの中将の四男のさいしょうに愛されることになった鉢かづき。
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辛い人生を送ってきた女性が最後に身分ある相手に嫁ぎ多額の金銭を手に入れる、いわゆる玉の輿展開は昔話のお約束ですからね。これをシンデレラストーリーと呼ぶのは構わないんだけども、結局最後はお金という点に若干世知辛さを感じなくもないなぁ…

がしかしここで「月打(ムーンストラック)」が発生、おとぎ話の世界がおかしくなっちゃいます。
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ムーンストラックというのは「気がふれた」という意味の英語です。昔の欧米人は気がふれるのは月のせいだと考えていたんですよ、だから「moon strike」も「lunatic」も同様に「気のふれた、狂気」という意味になっておるんです。日本人は逆にお月見をしたりして月を愛でる民族なんですが、欧米では月ってのは不吉なものなんですよ。

さらに月打はこの人のおとぎ話にも影響を与えます。
{9191D2F8-60B3-4AED-804C-0AC41F7A0F3B}はだかの王様!
アンデルセンの代表作の一つです。「バカには見えない布」というのは良く出来たストーリーだと思いますが、実は原作では「不倫関係から生まれた者には見えない布」なんです。さすがに原作通りでは子供の前で読めませんね…

さて鉢かづきは3人の兄嫁にも襲われます。兄嫁たちが持っている武器はそれぞれ薙刀、三節棍、そして釵(さい)ですね。漫画的に三節棍はまぁアリですが、釵を使う奴はレアだなぁ…

しかしここで鉢かづきに援軍。
太郎丸!
一寸法師に登場する鬼です。まぁ日本の昔話には色んな鬼が登場しますからね、「一寸法師の」と付けておかないとどの鬼なんだということになってしまいます。日本の昔話の悪役なんてのはだいたいが鬼か庄屋だからなぁ…

そして「読み手」の世界へやってきた鉢かづき、太郎丸の金棒を飲み込んで変身。

鉢かづきの別名は呑舟、飲んだ物に変身できる人間兵器です。藤田和日郎作品の主人公が使う武器は獣の槍→懸糸傀儡ときての呑舟なんですよ。この斬新さがいいんだよなぁ…

そして第1話もクライマックス。



どんな漫画だろうとも第1話は読者を惹きつける面白さを持っているもんなんだけど、藤田和日郎作品はうしおととらもからくりサーカスも月光条例も、それが顕著なんだよなぁ…


さて次のお題となる昔話はこれ。


三匹のこぶた!
違和感を感じたのは「狼が鍋で煮られてこぶたたちのご飯になってしまった」という部分ですかね。確かに原作ではそうなってるそうですが、我々が読んだ三匹のこぶたではこの部分がマイルドに改編されていますね…

さて月光条例の執行者として戦えと言う鉢かづきとエンゲキブ、それに対して月光から当然の反論。

岩崎月光は蒼月潮とは大きく性格の違う主人公です。潮は自分の心に真っ直ぐに行動する男であり、男の子ならこうありたいという理想像を具現化したような主人公でした。月光はむしろ理想化されていないありのままの少年像で描かれた主人公ですかね…

さて今回の敵は月打された巨大なオオカミ。それに対し迷わず立ち向かっていった月光。



これもある意味理想の男性像ですかね。女の子は嫌がるんですよ、言ってくれなきゃ分かんないって。でもやはり男たるものは自分の想いをペラペラ口に出すべきではないんです。言動ではなく行動で想いを示す、それこそが昭和の男の美学なんですが、それは平成の世にあっても受け継がれているのかなぁ?

つーわけでオオカミvs月光。

「へそ曲がり」という言葉、嫌いではありません。確かに「やれ」と言われればやりたくなくなるし「やるな」と言われればやりたくなっちゃうんですよね。結局他人から指示されてその通りに動くというのが気にくわないんですよね、これも人間の自由意志の副産物なのかもなぁ…

つーわけで見事こぶたを助けぬいた月光。
つーわけで事件解決。

本当のことを喋らないだけなら無口な人で済むんですが、思っている事と逆の事を言ってしまう男というものもいるんです。嘘つきじゃないんです、ひねくれ者なんです。少年漫画の主人公としてはピッタリですよね…


第2条「一寸法師」
題名通りこのキャラクターが登場。
一寸法師!
日本のおとぎ話の知名度ランキングというものがあるとするならば、おそらく不動のTOP3が桃太郎・かぐや姫・浦島太郎、これに次ぐのがこの一寸法師、花咲か爺さん・鶴の恩返しあたりでしょうかね。一寸法師も日本人なら誰でも知ってるおとぎ話だけれども、TOP3の知名度はそのさらに上をいっちゃってるからなぁ…

さてここで出かけるエンゲキブ。
エンゲキブは少年漫画には珍しい「カレシ持ちのヒロイン」です。珍しいというか、そもそもそんなヒロイン過去にいたかねぇ?

そして今回一寸法師のストーリーの登場人物で月打されたのが…
まさか月打されたのがアレだったとは、さすがにこの時点では誰も気付けませんわな…









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