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きよの漫画考察日記1232 修羅の刻第14巻

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修羅の刻第14巻は現代の九十九の人生にも繋がりを持つ重要な物語です。

お月様

さて舞台は明治時代。幕末を扱った修羅の刻2巻3巻では土方歳三や坂本龍馬、沖田総司が最強の男達でしたが、この明治時代における最強の男は…
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西郷四郎!
ついにきました姿三四郎が。修羅の刻といえば歴史上の剣豪を陸奥が無手で倒す、そーゆーイメージだけれども、考えてみれば廃刀令というものが日本における武道の一大転機点となっておるんやね。ここから一気に柔道、そして空手が誕生し、さらにはプロレスやボクシングに発展していくわけなんよね。そこを踏まえるとさ、やはり陸奥圓明流vs柔道というものを避けて通るわけにゃあいきませんわな。そう考えると題材はやはり西郷四郎しか存在しません!


さて明治15年、当時15歳の志田四郎はこの人物と運命の出会いを果たします。
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嘉納治五郎!
言わずと知れた講道館柔道の祖です。全日本柔道連盟の不祥事連発で柔道界は多大なダメージを受けてしまいましたが、全柔連と講道館は似てるように見えて違うものです。全柔連が強い日本人柔道家を作り出す組織であるならば、講道館は柔道の精神を広く世に伝える組織です。いや、冷静に考えてみると講道館よりも凄いスポーツ組織は日本には存在しないかもしれませんよ。ロンドンオリンピックの柔道でメダルを獲得した国ってのはフランス・ドイツ・ロシア・ブラジル・モンゴル・オランダ・韓国・キューバ・ギリシャ・カナダ・ハンガリー・グルジア・ウズベキスタン・ルーマニア・ベルギー・北朝鮮・イタリア・アメリカ・ルーマニア・スロベニア・中国・コロンビア・イギリス、それに日本を加えて24ヶ国もありますから。凄いよ講道館、世界中に柔道広めてるんだもん…

さて四郎の素質を見抜いた治五郎、それをこの人はこう評します。
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坂本龍馬の親友であり、沖田総司と土方歳三を倒した陸奥出海です。五稜郭での土方との戦いが明治2年のことなんでね、あれから13年の月日が流れたわけですな…

つーわけで今回の陸奥は出海ではなく出海の息子。
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天兵!
まだ子供ですが、後の37代陸奥圓明流伝承者です。この天兵の息子が38代陸奥真玄、つまり九十九から見れば天兵はひいおじいちゃんということになるんです。こんな子供がひいじいちゃんだというのも変な話ではありますが…

さてそれから4年後、講道館に道場破り来襲。
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この大竹森吉は実在の人物です。修羅の刻においては雑魚キャラ扱いですが、後述の中村半助と並び当時の柔術界最強の人物だったそうですよ。関節を極めたまま鋭角に落とす、古流柔術界最後の大物だったのかもしれませんね…

そんなこんなで拡大していく講道館、人材も豊富。
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講道館四天王!
鬼の横山の弟子が有名な三船久蔵十段、山田常次郎は講道館初の黒帯取得者、山下義韶は講道館初の十段を贈られた人物です。やはり組織が拡大するかどうかは、創成期にどれだけ人材をあつめられるかにかかっておるんよね…

つーわけで柔道を掲げる講道館、柔術を掲げる他流派との戦いが続きます。
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こーゆー経緯もあったので、未だに警察は柔道がメチャクチャ強いんです。そもそも警察学校というものは柔道初段か剣道初段を取らないと卒業できないし、柔道有段者は警察への採用試験でかなり優遇されるという話もあります。警察官に必要な「制圧力」というものを考慮すると、やはり警察官に柔道技術は必須よな。日本の警察官が滅多に拳銃を抜かないのはここにも理由があるんでしょうよ。銃で威圧するのではなく技で制圧する、まぁ日本が銃社会じゃないことも理由なんでしょうが…

そしていよいよ西郷四郎登場。
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柔術には「当て身」が存在してます。まぁ講道館柔道でも最初は当て身が存在してたんですが、これが無くなった最大の要因、それは柔道が学校授業として導入されたからじゃないでしょーか。いかに明治時代とはいえ、小学生同士で当て身の授業ってのはやり過ぎやからねぇ…

つーわけでここで四郎の代名詞が炸裂します。
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一本背負いではありません。ポイントは釣り手です。引き手と同じ側の衿を掴むというのが最大のポイントです。本来はこーゆー変形の組み手から投げるのは困難なんですが…この投げ技だけは違うんです。
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山嵐!
講道館柔道においては67種類の投げ技が規定されています(2種類は禁止技)その中で伝説の部類に入る投げ技は「隅落とし」そしてこの「山嵐」で間違いないでしょう。山嵐を極端に簡単に言ってしまえば「背負い投げしながらの払い腰」です。言葉にすると簡単そうに聞こえますが、これはつまり片足で一本背負いをかけられるだけのバランスの良さが根本的に必要だということです。「西郷の前に山嵐無し、西郷の後にも山嵐無し」の言葉通り、この山嵐という技を使いこなせた柔道家は西郷四郎ただ1人だけなのかもしれませんね…


さてそこから更に月日は流れ…
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浅草凌雲閣ってのは12階建てで、日本で初めてエレベーターが設置された画期的な高層建築だったそうですが、関東大震災で崩れ去りました。三匹の子豚じゃあるまいし、レンガで作ればそりゃ崩れますよ(笑)

そしてやっと戦える年齢にまで育ちました。
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大っきくなりました。子供はちょっと見ない間にでっかくなってるもんです。甥っ子に12,3年ぶりに会ったら高校生になってた時にはびっくらこきましたけどね…


さて修羅の刻14巻はヒロインの出番は控えめ。
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田中十蔵の娘、名前は判明しませんでしたが…まぁこの後天兵と結ばれて幸せになったということにしておきましょう。この娘が九十九のひいおばあちゃんだということにしときましょう。

つーわけで四郎との戦いを決意した天兵。
天兵「講道館へ行って西郷四郎に文をとどけてほしいんだ。」
「いや。もう人が戦ったり怪我をしたり死んだりするのは見たくない。」
天兵「オレは人じゃない。」
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天兵「無理にとは言わない…自分で講道館に出向くまでだ。」
「待って。」
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勝手なもんです、女ってのは(笑)

つーわけで決戦の舞台はここ。
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現在ではね、地下鉄赤羽橋駅の裏っ側です。東京タワーから目と鼻の先です。

さて当然組みにいく四郎、でも別に柔道ルールで戦う理由は天兵にはありません。
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からの…
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たしかに脇固めをかけられると絶対に身体は前につんのめりますからね、そこに膝という発想は当然のことです。

さてこれに対し右構えの山嵐で天兵を投げた四郎、さらに左構えで山嵐にいきますが…
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虎砲でカウンター!
これがアリなら陸奥圓明流伝承者を投げることはほぼ不可能だと言ってよいですよ。どんな投げ技であろうともある程度の身体の密着は必要ですからね、その瞬間に虎砲が飛んでくるんじゃどーしょーもありません。

つーわけで山嵐を封じ込まれた四郎、この技を解禁します。会津お留流秘伝…
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座った状態で逆関節を極めて投げてるんです。実際にも会津藩には御式内という流派があったそうですが、お留流すなわち門外不出であったがゆえにその内容は全くの謎。そーゆーミステリアスな流派は想像力を掻き立てますな…

さらに御式内の必殺技。
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難しい技ですが、陸奥が雷に入る時に使う逆一本背負いとほぼ同じ入り方の投げ技です。陸奥の場合は180度回転して相手を背負いますが、四方投げは一気に360度回転して引き落とすような感じでしょーか。ちょっと速すぎてよく分かりません。

そこからさらに天兵の襟を足で締め上げる四郎でしたが…
天兵「陸奥圓明流…千年にいたる歴史に…」
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指穿で四郎のアキレス腱を貫いておるわけです。これがアリなら陸奥圓明流伝承者を締めて落とすことはほぼ不可能だと言ってよいです。投げ技も締め技も無理…となるとやはり陸奥を倒すには打撃しかありませんね…

そしてトドメ。
天兵「これが本当の…」
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表の雷と裏の雷、その違いは背負い方です。普通に背負ってから蹴るのが表の雷、肘関節を極めての逆一本背負いから蹴るのが裏の雷。
…という風に大半の読者は思っているでしょうが、実はちょっと違いました。
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雷は右背負いの場合は右足で、左背負いの場合は左足で相手を蹴ってます。これは表も裏も変わらないんですが、表の雷の場合は普通に背負っているので蹴りが後頭部に入るのに対し、裏の雷の場合は逆一本背負いで投げてるので蹴りが顔面に入ります。普通に考えれば後頭部を蹴られる表の雷の方が強烈なようにも思えますが、後頭部を蹴られると結果的に背中から地面に落ちます。人体の前面と背面における耐久度の差を考えると、顔面を蹴られたあげくうつ伏せに地面に落とされる裏の雷の方がキツいと考えることも可能ですかね…

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