ダイの大冒険36巻「閃光のように」。この一冊、はっきり言って泣きます
さて地上が残り5分で消滅することを知り、ついに心折れちゃったポップ。何も知らない普通の人たち、ここをよーく見てみましょう。どう見ても普通じゃないお姉さんが混じってます(笑)もしかするとこいつはぱふぱふお姉さんなのかも。
さてそこに登場したのはこいつ。
冥竜王ヴェルザー!雷竜ボルクスを倒しあの大魔王バーンと魔界を二分して支配してたわりには、若かりし頃のバランにやられちゃった強いのか弱いのかよく分からん竜王です。ダイの大冒険にはバーンとの戦いの後に魔界編という構想もあったそうですが、それが無くなっちゃったので単なるチョイ役ですけどね…
さて絶望に打ちひしがれるポップの脳裏に響いたのはメルルの声。メルルはポップとのみテレパシー的なもので交信できるという特殊能力を手に入れてたんです。
この娘、粘着質ですよ(笑)だってポップはこの子の目の前でマァムが好きだと宣言してますからね、それにも関わらずこんな発言ができるメルルが粘着質でないわけがない。
そんなわけで黒の核晶の爆発を防ぐために奔走していたロン・ベルク。大魔王バーンはそんなロン・ベルクをバーンパレスへ招待しようとしますが、もちろん拒絶。
この気持ちは分かる。俺も大した仕事もせずにそこそこの給料をもらってた時期がありましたが、あの時が一番退屈で自分が腐っていくのを実感できた時でしたし、あんな日々は二度とごめんだと思いますもんね。まぁ収入なんてのはあればあるほど良いものではありますが、それに目がくらんで自分が腐っていってるのに気付けないような人間になるのだけは耐えられません。
しかし残り5分で6つの黒の核晶全てを凍らせないと地上は消滅、時間も人材も足りないんです。こいつは三賢者のくせにルーラも使えねえのか(笑)そんなわけで僅かな希望を頼りに立ち上がったのはポップ。そんなポップにバーンも呆れます。
大魔王バーンはだいたいの人物の名前は覚えてますよ。最終決戦に残ったメンバーの中で名前を覚えられてないのはマァムとビーストくんだけですからね…
そしてここからがダイの大冒険における最高の見せ場です。これはポップのメガンテ及びハドラーの死亡シーンを越える名シーンです!
バーン
「少しはダイを見習え!」バーン
「…なんの話をしている…!」ポップ「大魔王さんよ…あんたは何年生きられるんだい?何千年か?何万年か?それとも死なねえのか?あんたも…あのヴェルザーって化物も相当寿命が長ぇんだろうなァ…」
ポップ
「考えれば考えるほど怖くなって…夜中におれは泣き出した。親父たちがびっくりして飛び起きた…」
あかん、泣いちまうこのセリフをダイが言ってもあかんのです、ヒュンケルやアバン先生が言ってもあかんのです。このセリフを単なる弱虫のクソ野郎だったポップが大魔王バーンに叩きつけたからこそ価値があるんです。36巻にも及んだダイの大冒険のストーリーはこのシーンのためだけに積み上げられてきたんだと感じてしまうくらいの名シーンです。もうここから後のバーン戦はおまけみたいなもんですよ(笑)
そんなポップに呼応する男が当然います。
漫画の名シーンってのは多々ありますが、長期連載だからこそ生まれ出でる名シーンってのはあると思うんですよ。このシーンが第3巻くらいで出てきたとして誰も感動しないでしょうし。長年に渡り読み続けてきたことによって登場人物に感情移入するに至った結果、心揺さぶられてしまうということはよくあることです。そーゆー意味でもやはり漫画というものは30巻〜40巻くらい連載が続く方が俺は好きですけどね…
さぁ地上消滅まで残り3分、それでもバーンに食らいつくダイとポップ。
バーン「なぜだッ!なぜこんな無駄な挑戦を続けるのだッ!いまさら余と争って何になるッ!」
それにしたって残り時間3分は苦しい。まぁそもそもDQには時間を制限されたイベントというのがほとんどないですからね(DQⅦの炎の山は時間制限クエスト的ではあるけど、あれは階段を上り下りした回数がカウントされてるだけ)。その点やはり時間制限クエストといえばFFシリーズですよ。これはFFⅤから投入されたんですが、どの時間制限クエストも楽しくて記憶には残ってますね。その中でもやはり印象深いのはFFⅥのこの人物絡みの時間制限クエストですかね…シャドウ! この後崩壊する魔大陸から制限時間内に脱出しなければいけないんですが、飛空挺まで辿り着いた後に脱出せず制限時間ギリギリまで待つとシャドウが再び合流してくれるんです。でも当時はそんなこと知らないからさ、シャドウを置き去りにして脱出してしまうんですよ、すると二度とシャドウには会えないんです。シャドウを再び仲間にできるなんてことを知ったのは俺が大人になってからだったもんなぁ…
そんなわけでバーンは時間を待たずして黒の核晶を作動させようとします。
すると突然動き出した瞳、その奇跡を演出していたのは我らが獣王の涙…ではなくゴメちゃんでした。
持つ者の願いを叶えてくれるドラゴンボール的な道具です。「捨てる」を選んでも絶対に捨てられない系のアイテムですね、これは。
そんなゴメちゃんのおかげで皆ここまで生き残ってこれたんです。
ゴメちゃんが叶えてきた願いは①クロコダイン戦でのダイの体力の回復②ポップ死亡時に一瞬だけ引き戻す③フェンブレン戦での体当たり④魔力炉による吸収からレオナを守る⑤瞳を動かす、まぁこんなもんです。バーン様が大騒ぎするほどの奇跡は特に起こしちゃいないんですけどね…
そんなゴメちゃんを破壊しようとするバーンに対し…地上の生物全てを死滅させようとしてるバーン様に対しそのお願いはあまりにも無意味(笑)
そんなこんなで消滅しちゃったゴメちゃん、しかし最後に地上消滅の危機を皆に伝えるというダイの願いを叶えてくれます。
ここにきてのニセ勇者パーティーの登場にはちょっとシビれますな。長期連載の漫画でこーゆーことをやられるとちょっとニヤッとしてしまうもんです。
そんなわけでオーザムに落とされたピラァオブバーンに辿り着いたニセ勇者一味、しかしその前にこのモンスターが。ジャミラス! ダイの大冒険に登場するモンスターは基本的にDQⅢから、魔界のモンスターはDQⅣから、獣王遊撃隊のメンバーはDQⅤからとなっておるんですが、唯一DQⅥから登場したのがこのジャミラスです。知名度は抜群でしょう、あのしあわせの国で大演説を見せつけてくれた中ボスですから。
ちなみにこの姿からするとジャミラスではなく色違いのサイレスやエビルホークなんじゃないかとも考えられますが、その可能性はありません。なぜならこの中で「かえんのいき」を使えるのはジャミラスだけだからです。黒の核晶の凍結を防ぐために配置されていた以上炎系の技を持ってることは当然でしょう、なのでこいつはジャミラスなんです。
そんなジャミラス様、瞬殺されます。体調不良によりヒュンケル&クロコダイン救出作戦の際もバーンパレスでのラストバトルにも不参加だったマトリフ師匠がさ、世界のピンチにこんな北の果てにまで向かっていたというところにウルルときてしまうわけですよ…
そんなわけで6個の黒の核晶全ての凍結に成功!アポロとマリンがパプニカ国内の2個を凍らせ、ノヴァが2個、まぞっほが1個凍らせてますが、何気にファインプレーなのはポルトスの街の黒の核晶を凍らせたフォブスターですな…
そんなわけで世界を救ったゴメちゃん。
ダイ「ゴメちゃん…さよならは言わないよ…またゴメちゃんが元の神の涙に戻って地上に落ちてくる時がきたら…今度もきっとおれが見つけてみせる!そしたら…そしたら…その時…おれはもう子供じゃなくなっちゃってるかもしれないけど…また必ず同じ願いを頼むよ…!そして一緒にまた遊ぼう…!」 DQには後にエンゼルスライムというゴメちゃんによく似たモンスターが登場するんですが、ゴメちゃんを知ってる世代からすればやはり攻撃するのを躊躇してしまいます。ダイの大冒険のマスコットキャラクターを見事に勤め上げた愛すべきキャラクターでしたね…
そんなわけで大逆転。
ダイ「…たしかにゴメちゃんが信じられない奇蹟の力を見せてくれたおかげだよ…でももし世界中の人に心が伝わっても人間がみんな悪なら…本当に救いの無い奴ばっかりなら…この奇蹟は起きなかった…!誰も柱を凍らしには行ってくれなかったはずだっ!今までの冒険の旅で知り合った人たちの…つながった絆のおかげなんだっ!」 いよいよダイの大冒険もクライマックスです。振り返るとここまで長かったなぁ…