さて比呂の母親が盲腸で入院、偶然にもひかりの母親も過労で検査入院。
おばさん「ほんとに大きくなったね、比呂ちゃん。」
おばさん「今年こそ戦えるといいね、ヒデちゃんと甲子園で。」
比呂「そうスね。」
おばさん「本当に勝ちたいと思ってる?ヒデちゃんに。」
なかなか気付けない事だけども、自分の事をよーく分かってくれている他人がいるってのは幸せな事なんでしょな…
おばさん「比呂ちゃん。」
大きくなっても自分の事を「ちゃん」付けで呼んでくれる人ってええよね。俺はもうそんな人おらんわ…
つーわけで…
どわあぁぁぁ!あだち充、ここでやりやがったぁ!
まぁ定番なんですけどね、あだち漫画で主要人物が死ぬのは。双子の弟は殺すし、クロスゲームに至ってはヒロイン殺しちゃいますから。でもそれにしてもこのタイミングでおばさん殺すかねぇ…
ところで最近のスポーツ漫画では誰かが死ぬのが当たり前になってしまいましたな。亡くした人との約束を守るため強くなる、定番中の定番です。ジョーは力石の死を糧に、掛川は久保さんの死を糧に、吾郎はおとさんの死を糧に、俺フィーの和也は父親の死を糧に皆強くなりました。う~む、サンデー率が異常に高いのは気のせいか(笑)
そんなわけで葬式が終わってもまだ受け止められない比呂。
おじさん「あいつは結婚する前から子供は絶対男の子がいいって言っていた。ひかりが生まれたあとも、もう一人男の子がほしいって…けど比呂ちゃんが遊びに来るようになってからは、一言もそんなこと言わなくなったよ。」
おじさん「比呂ちゃんは必ずプロ野球の大スターになるからって。この落書きは日本一有名なピッチャーのものとしてものすごい価値がでるんだって。親子じゃないから親バカとはいわんよな。」
比呂「おじさん…」
おじさん「もうすでに値打ちモンだよ。」
う~ん、泣きそうです日常生活の中での大切な人の死、これを描かせたらあだち充に勝てる漫画家はちょっと見当たりませんな。あだち充は確かによく人を殺すけども、どの殺し方も一級品です。プロの殺し屋ですよ(笑)
さて叔母さんが亡くなって何日か過ぎまして…
春華「ひかりさん、元気になった?」
比呂「じゃねえか。たぶん。英雄がずいぶん気を遣ってやってたみたいだから。大丈夫だろ。」
比呂「…やだね。みっともね。」
なかなか難しいわな、これは。しょーもない事で落ち込んでる女ならケツを叩いてやることもできるけど、おかんを亡くした女にかけてあげれる優しい言葉は俺の引き出しの中には無いわ…
さてひかりちゃんは子供の頃遊んでた空き地へ。そこに現れた比呂…
言葉はいりません。ただキャッチボールをするだけでしたが…
この時期にひかりちゃんの叔母さんを殺したあだち充の意図、それはやはり完璧超人であるひかりちゃんの弱さを引き出すためでしょーか…
そんなこんなでついに始まります。
夏の選手権の地方大会はほぼ毎回沖縄→北海道という順で始まります。まぁ理由はいろいろあると思うんですよ、離島の高校の問題や台風だとか。だけども基本的に甲子園から遠い都道府県ほど早く代表校が決まる最大の実質的理由はね、応援に行くために学校が山ほど金を集めないといけないからじゃないでしょーか?俺の高校が甲子園に出たときはバスのチャーター代だけでしたけども、沖縄や北海道の学校は飛行機代や宿泊代、とんでもない額になっちゃうからね…
ちなみに夏の選手権は10の倍数の記念大会の時に限り埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪・兵庫の6府県も東西ないし南北に分けて予選が行われますが…問題はその割り方です。我が兵庫県を例にとると、兵庫の高校の95%は南側に集中してますから南北に分けるわけにゃいきません。東西に分けるしかないんですが、じゃあ境界線をどこにするかという問題が発生しちゃいます。これがまたムズいんです、なぜなら有力校はことごとく神戸市に集中してるから。神戸市は今のところ「東兵庫」という括りになってるんですが…こーやると報徳学園、育英、滝川二、関西学院、神戸弘陵、神港学園、神戸国際大付といった強豪校が東兵庫に集中してしまう反面、西兵庫には東洋大姫路くらいしか強豪が見当たらんのですよ。他の都道府県を見てみてもやっぱり上手に分割できてる県はありません。同じ県から2校出場できるのであればやはりその時点でのNo.1とNo.2の高校を出場させたいと思うんだけど、なかなか上手くいかないんですよね…
まぁ逆に上手く分割できてるのはやはり東京です。分割されてるのに慣れてるからなんでしょーが、東には帝京、関東一、国士舘、西には日大三、早実、こりゃ見事と言わざるを得ない分割っぷりです。
さてついに東京都予選も始まりますが、その前に…
ひかり「今日時間ある?」
比呂「夕方までなら…」
そして別れ際に…
ひかり「比呂と幼なじみでよかった。」
え~⁉突然どしたのさ⁉
まぁこの後のひかりちゃんの行動を見るに、母親を亡くし揺れる自分に対してケジメを付けたというところでしょうか。まぁそれにしたって唐突すぎます。突然キスされて突然さよならと言われた比呂はパニックですよ(笑)
そして比呂の夏が始まるということは英雄の夏も始まります。
監督「ま、おまえにとっても国見にとってもこの夏は長い野球人生の通過点のひとつだろうからな。」
英雄「確かにゴールにするつもりはありませんけどね。けど、この先どんなに長い野球人生が続いたとしても、二度と来ませんよ。」
選抜大会も高校サッカーも高校ラグビーも面白いんですけどね、やっぱ季節的に燃えてこない。やはり夏=高校野球、高校野球=夏なんですよね…
つーわけで千川の予選初戦。
高校野球の地方大会においては決勝戦を除いて「5回以降10点差以上、7回以降7点差以上」でコールドゲームになります。このコールドゲームの成立要件は様々なんでね、草野球だと気付かないうちに突然試合が終わるということもしばしばです。
さてここでひかりちゃんを散歩に連れ出した英雄…
ひかり「そういうもんでしょ、ライバルって。」
英雄「ちがうよ。おれがあいつのファンだからさ。中学から5年ちょっと…そっちと比べたら短いつきあいだけどな…あいつに負けてもおれは自分を許してしまいそうな気がするんだ。そしてますますあいつのファンになって、勝負をどんどん不利に…絶対に負けるわけにはいかないんだ。おれの野球人生にでっかい壁を作ってしまわないためにもな。」
ひかり「はい、わかりました。さ、夕食の時間よ。」
ヒデちゃ~ん、それは気になっても聞いたらあかん事やねんて……
さて英雄はこの出来事をすぐに比呂に伝えちゃいます。
比呂「バカじゃねえの。」
英雄「そう言われたよ、ひかりにも。」
比呂「だいたい今さらおれのことを好きかどうか聞いて、どんな答えを期待してたんだよ。」
英雄「答えは期待どおりだったよ。」
比呂「心配すんな。ひかりはおまえとは別れねえよ。それに、もし別れたとして、ひかりがほかの男とつきあうことになったとしても…それは絶対におれじゃねえから。」
英雄「そっか。なんか妙に納得しちまったもんだから…」
まぁ分かりますわな、こーゆーのも。好きだからこそ付き合わないっていうのはありますよ。ただ問題はこの結論に比呂とひかりちゃんが本当に納得できているのかという点よね…
さて予選に戻りますが…比呂は絶好調。
地方大会での完全試合ってのはちょくちょくあります。がしかし選手権で完全試合を達成した投手は未だいません。選抜では2回記録されてるんで、そろそろ選手権でも出てもおかしくはないよな…
さて明和一の試合を見に来た野田はひかりちゃんと遭遇。
ひかり「比呂は野田くんにもっと感謝しないとね。」
野田「いいよ、別に。どうせ俺がつきあえるのはこの夏までだ。」
ひかり「プロはめざさないの。」
野田「ムリムリ。それにもし運よくプロに、しかも同じチームに入れたとしても、比呂の球を受けるためには一軍の正捕手をめざさなきゃならねえんだぜ。」
たしかにそーなんです。自分より優れた選手が同じチームにいたとしても投手や野手なら試合には出れます。がしかし自分より優れた選手がチームにいると捕手の出場機会はまずありませんからね。サッカーのGKと同じで世代交代を進めにくいポジションでもあるんです、だからこそ捕手の育成というものは大切なんやけども…我がタイガースはなかなかこれがうまくいきませんね…
さて明和一打線を荒れ球で押さえ続けてきた美斗工の沖島くんでしたが…
野田「でもって、一方は一人相撲…」
つーわけで千川も明和一も圧倒的力で…
この出場回数というのはやっぱり重要でね、初出場初優勝というのはやはり困難です。センバツならちょくちょくあるんですが、夏の選手権で初出場初優勝を達成したのは俺が生まれてから36年間で大阪桐蔭1校だけです。だからこそ今夏の前橋育英の初出場初優勝は見事でした。こーゆー学校は一気に強豪校に育っていく可能性はありますね…
投手は三振とってりゃそれでいいもんではないんです。例えば捕手が外角に構えた時と内角に構えた時とでは内野手の守備位置は微妙に変わってるんです。投手が捕手の要求通りのコースに投げ、適切な位置に守っていた野手が打球を処理する、その繰り返しがリズムを生むんです。
これに対し守備のリズムをくるわせるのは四球とワイルドピッチです。これを連発されると野手はドッと疲れるし、集中力も欠けていくんですよね…
つーわけでまた今年もやってきました甲子園。
「第10回大会以降」というのはポイントですね。選手権大会は第1回と第2回大会は豊中球場、第3回から第9回までは鳴尾球場で選手権大会は行われていました。なぜ甲子園で開催しなかったのか、それは単純に甲子園球場がまだ存在していなかったからです。鳴尾球場ってのは球場とはいうものの競馬場の中に作られた仮設球場みたいな感じだったもんで、これじゃあかんということで甲子園球場が建設されたんです。これが1924年のことですからね、1926年に完成した神宮球場と並んで12球団の本拠地球場としてはブッチギリの歴史を誇ります。アメリカで言えばフェンウェイパークみたいなもんですから。俺たち阪神ファンは歴史ある甲子園を愛しておるからね、ドーム球場なんかにゃこれっぽっちも魅力を感じねぇわ!
つーわけで宿舎入りした千川ですが、ファンが多すぎて比呂は外出できず。柳のことを知ってるファンもちらほら居ましたが…
さて明和一は甲子園練習。
俺は甲子園の地元兵庫県の人間なんでね、子供の頃から長年甲子園を見てきましたよ。じゃあどこが1番強かったかというとやはり1998年の横浜高校が最強でした。近年では駒大苫小牧・興南・大阪桐蔭も強かったですが、やはりあの年の横浜、あの年の松坂大輔は鮮烈。単一の大会でいうと2000年夏の智辯和歌山。あれも強かったですよ。
だけどね、ホントにこれ高校生のチームなのか⁉と俺が衝撃を憶えたのは2チームですね。1998年の能代工業バスケットボール部と2010年の東福岡高校ラグビー部。あれはちょっと高校生のレベルを超越したチームやったねぇ…