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きよの漫画考察日記1299 天第18巻

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ついに天の最終巻、ひたっすら赤木のトークで幕が閉じます。

お月様

さて原田と対談する赤木、過去の対戦を振り返ります。
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あの鷲巣がゲスト出演しております。考えてみると「天」と「アカギ」の両作品に登場してるのは赤木しげると鷲巣だけか…

さて赤木は人生の成功者であるはずの原田をバッサリ。
アカギ「勝つことによって人の命は輝き光を放つ。そういう生の輝きと成功は…最初つながっていた…!なのにどういうわけか…」
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成功を積み重ねすぎた人は成功に縛られる…確かにそーゆー面はあるんでしょーがね、でも人は成功を積み重ねたいという欲求からは逃れられないよなぁ…


そして次はひろゆき。東西戦以降停滞していたひろゆきに対し赤木は半死だと一喝。だけどひろにも言い分はあるわけです。
ひろ「分からない…アカギさんには分からない…!」
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まぁ赤木しげるほどの才能を目の当たりにしてしまったらね…

しかしこれに対し…
赤木「決めるなよ…」
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負けてもいいんです。失敗続きの人生でいいんです。ダメ人間でいいんです。世間一般から「まともな人生」だと思われなくてもいいんです。
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これもいざ実行しようとすると難しいんです。世間はまともな暮らしをしていない人に対し冷たいからね、どーしてもまともな人生を人は求めてしまいます。まぁそー考えるとさ、世間から後ろ指を刺されようが生き方を曲げないギャルだとかオタクだとかの方がまともな奴らよりも己の魂に真っ直ぐに生きているのかもねぇ…

赤木「無論…気持ちは分かる。誰だって成功したい…!分かりやすい意味での成功…世間的な成功…!金や地位、名声…権力、称賛…そういうものに憧れる…欲する…!けどよ…ちょっと顧みれば分かる…!それは「人生そのもの」じゃない…!そういうものは全部…」
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赤木「人生の飾りに過ぎない…ただやる事…その熱…行為そのものが生きるってこと…実ってやつだ!分かるか?成功を目指すなと言ってるんじゃない…!その成否に囚われ…思い煩い…止まってしまうこと…熱を失ってしまうこと…これがまずい!こっちの方が問題だ!いいじゃないか…三流で!」
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赤木「まるで構わない…構わない話だ…だから…恐れるなっ…!」
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まぁ色んな人が言うセリフですよ「失敗を恐れるな」ってのは。だけどそんな言葉を単体で言われたって無意味ですわな。失敗しても構わないんだという心境に至れなければ失敗を恐れないことはできないわけで、その意味で「熱い三流なら上等よ!」という言葉には深みを感じますな…


そしていよいよラストの天。人が最後は誰かの世話になって生きていくことは仕方ない事だと説得する天でしたが…
赤木「天よ…仮に将来そうなって、誰もかれもがそうやって最後の数年間は面倒をみてもらって死んでゆくとしても…俺には…関係ない…!俺は他人に関係なく、ただ一人で死んでゆくだけだ…!」
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世の中介護問題が叫ばれておりますがね、少々理解できない部分もある。要介護状態になった時の事を考えて高齢再婚するとか、後見契約を結んでおくとか、ちょっとズレてる気もします。高齢の人たちを批判しておるつもりはないんだが、そんなに人の世話になってまで長生きしたいものなのかね?生というものはそこまでしてすがりつかなきゃならんものなのかね?

そして天は赤木が手にしなかった家族を持つのはどうかと提案。
「死の際には辿り着けるんじゃないっスか…?俺と俺の嫁さんたちと…赤木さん…血はつながってなくても…家族に…!そうしましょう!そいつを味わって死んでいきましょう…!でなきゃ…」
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赤木「フフ…勿体ない話だが…まぁ…やめとこう…だってそうじゃねえか、俺の孤立は…誰に頼まれたわけじゃない…ただ俺が好きでやってたことだ、なら…そのツケが回って今…多少心寂しい最後になったとしてもそれはそれで仕方ない。因果応報ってヤツだ…!俺にはそれがふさわしい…」
「違うっ…!俺だっ…!」
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「俺っ…!俺っ…!
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日本でも安楽死や尊厳死というものは認められています。まぁ死にたいと願う人間の意志が尊重されるのは当然のことでもあるんですが、残される人間の意志というものも尊重されるべきなのかもしれませんな。生きていて欲しいと願う人間が周りに一人でもいるのであれば、それはそれで生き続ける意味はあるもんなぁ…

そしてついに赤木がスイッチに手を伸ばします。
赤木「ありがとよ、天…」
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赤木「救われたよ…家族はいずとも…俺に…」
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俺も家族はいないんでね、最近よく言われます「歳とったら寂しくなるよ」って。まぁ女性ならたしかにそうかもしれませんけどね、男は家族がいなくてもいいんですよ。なぜなら男の最も大切なものは家族ではなく友達なんですから…

そしてついにスイッチ!
「無念じゃねえのかよっ…!赤木っ…!」
赤木「フフ…」
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「心残りは無い」という言葉はさ、心残りがあるからこそ出てくる言葉よな。本当に心残りが無いのであればそもそもそんな言葉は出てこないはずですよ…

そして最後に赤木が自身に投げかけた言葉は…
赤木「俺が…俺自身に伝える…最後の言葉…!そうだ…そう…完成だ…!多分…人間は死んで完成する…!俺はもう…俺自身ですらなくていいんだ…!離れる…!俺は…俺から…!」
赤木「あ…消える…消えるな…!そうか…これが死か…行けっ…!放たれろっ…!」
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まぁこの辺りの考えは人それぞれで良いと思いますよ、死という概念に対する捉え方は宗教観がモロに出てしまいますからね。ただ一つ懸念することは、無神論者が大半を占める日本人においては死を受け入れられない人が相対的に多くなってしまうのではないかという点ですな。だからこそ胡散臭い新興宗教も蔓延るわけやしね…

つーわけで闇に降り立った異端の天才、赤木しげる死去。
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53歳か…早過ぎるといえば早過ぎるし、逆に死ぬにはいい頃合いなのかもしれません。日本人の平均寿命は83歳で世界TOPですが、これが果たして良いことなのかどーかは視点次第よなぁ…


そして赤木が死んで二年半が過ぎ、ひろゆきは定職に就かず雀ゴロもどきとして暮らしていました。
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大切な人の死に立ち会うと、人ってのは変わるもんですよ。逆に言うと、人を変えるためには誰かの死に立ち会わせるのが最も手っ取り早いのかもねぇ。


そして天のラストカットは…
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「天」という漫画における主人公が天だったのかひろゆきだったのかは分かりませんが、途中からは完全に赤木しげるに持っていかれましたな。主役の座を途中からパパに取られたバカボンのようです(笑)

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