感動超大作「うしおととら」その短編集です。6つの短編が収録されていますが、そのうち潮がまともに登場する作品は1つだけ。
舞台は平安時代、美しい姫を奪おうとする悪の陰陽師。
「桃影抄~符咒師鏢~」
う~む、絵のタッチからして相当初期に描かれた短編のようですな。
そんな姫を守ろうとする家臣との美しい絆がこの話の主題でしたが、そのダシに使われたのがとら。
主役は妖に妻と娘を殺された1人の男です。男は迷い込んだ桃花源で妖を殺すための術の修行に励みます。その修行はあまりにも厳しいものなんですが…
そんな窮奇をぶっ倒して桃花源を去る男。
舞台は伊万里市。若かりし頃の紫暮が退治にやってきた妖が…
そしてここで紫暮は須磨子さんと出会っちゃいます。
そしてここで夢のコラボレーション。
「雷の舞」
基本的に猫股や化け猫というのは尻尾が二股に分かれてるもんです。尻尾が分かれるくらい生きると妖になるということなんですね…
このはないちもんめという遊び、たしかに周りでやってる女の子はいました。がしかし残念ながらルールが分からん。女の子の遊びってのはゴム跳びやあやとりにしてもそうなんですけど、ルールがちっとも分からないんですよねぇ…
うしおととらとドラえもんのコラボはたまりませんな。もちろん著作権の問題はクリアーしてるんでしょーが、基本的に著作権というものは作者死亡後50年は継続するものと考えておけば大丈夫です。つまり芥川龍之介や太宰治や島崎藤村の作品がかろうじて著作権が切れているのであって、漫画キャラクターの著作権が切れているという事態はまず考えられないと言って問題ありません。手塚治虫のキャラクターの著作権が切れるのが2040年ですからね…
「雷の舞」
ヒロインはこの子。
そんな巴御前と旅の尼さん、この妖怪に襲われちゃいます。
つーわけで化け物に襲われつつも仏の御心を説く尼さん。
巴御前!
ま、100%創作でしょーけどね。木曽義仲の時代の合戦というものを今の時代の人間が推し量ることは難しいかもしれませんが、それにしたって戦場に女が出るなんてこたぁ無いでしょう。
ん?どーも後ろにいる妖怪たちに水木しげるテイストを感じます。藤田和日郎ではなくアシスタントが描いたのかもなぁ…
尼さん「みなさんのような物の怪も仏はきっとお救いくださいます。さあ、心静かに祈りましょう。」
つーわけで多勢に囲まれるとら、自分の国でおとなしくしていれば良かったのにと巴は言いますが…
「プレゼント」
いいですね、この不意打ち。やっぱ読者が想像できない展開を紡ぎ出してこそ面白い漫画になるんですよ。
とら「そうすりゃどーなる?時がただ流れていってどーなる?」
まぁ日本人は我慢こそ美徳という民族ですからね、なかなかこの考えには至らないのかもしれません。だけどもう今の世の中ちょっと立ち止まってたらすぐに置いていかれちゃいますからね、乗りたい風を見つけたらとにかく乗るしかないんですよね…
「プレゼント」
クリスマスなんて大嫌いな少年信太。
さて当然助けに来たのは潮、そして潮は自分のために用意したクリスマスプレゼントを全て信太に渡します。
せつねえ…まぁ母子家庭の子は珍しくはありませんが、彼らの何が一番切ないかというと親が留守の間に結局火事を起こして死んでしまうという点ですよ。火事のニュースを見てるとそのパターンが結構目に付くんですよね…
穴ボコさん!
うん、こちらは完璧に藤田和日郎デザインですな。水木しげると藤田和日郎、二大妖怪作家と評価して構わないでしょう。
潮「オレもさァ、サンタなんていねえと思ってたよ…でも…ちがうよな…」
つーわけで一人寂しいクリスマスを過ごすことになった潮、しかしその背後からは食べ物をいっぱい抱えた麻子と真由子が。
うん、たしかにそーですよ。子供にプレゼントを贈るのはいいんだけどさ、結局プレゼントを押し付けて自己満足に浸っちゃう親が多過ぎるんです。それじゃサンタとは呼べませんねぇ…
「あっちこっちで大変な、ねえ、君。君に…」
う~ん、俺にサンタはいねえなぁ。俺の欲しい物を分かってくれる奴なんていないもんなぁ…
「永夜黎明」
「永夜黎明」
この人が登場。
さて草太郎と戦い自然石に縫い止められたとら。数百年後、ついにとらの前にこの男が。
草太郎!
潮は獣の槍に選ばれた伝承者ですが、その先代の使用者です。まぁどーゆー基準で槍が使用者を決めているのかはよく分かりませんがね…
女の子の一人称といえば「私」「あたし」もしくは「ウチ」ですが、「おら」というのも一周回って可愛らしいもんです。なんかジェロニモみたいで守ってあげたくなります(笑)
ここのつ!
まぁ顔が9つあるから「ここのつ」という名前なんでしょーが、作中では頑張っても8つまでしか確認できませんでした。まぁ名前が「やっつ」ではシマりませんからね…
つーわけでこれで「うしおととら」はお終い。藤田和日郎風に言えばとっぴんぱらりのぷう。まぁこの他にも読み切り作品はあるんですが、それはいずれ考察する機会もあるかもね…